相続法改正のポイント

今回相続法が約40年ぶりに改正されました。内容は大幅に変更され、改正点は多岐にわたりますので、まずはポイントをご覧ください。

【改正分野は大きくわけて7つ】

1、配偶者居住権の新設
2、遺産分割前における預貯金の払戻し制度の創設等
3、遺言制度の見直し
4、遺言執行者の権限の明確化
5、遺留分制度の見直し
6、相続の効力等の見直し
7、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(寄与分)

1、配偶者居住権の新設

配偶者居住権を簡単に説明すると、相続の際に、配偶者相続人が居住建物の所有権を相続しない場合でも、原則として終身の間、家に居住し続けられる賃借権に類似した権利です。

①被相続人の配偶者は、相続開始の時に被相続人所有の建物に居住していた場合には、遺産分割、遺贈又は死因贈与により、その建物の全部について使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を取得することができます。

②遺産分割の請求を受けた家庭裁判所は、次の場合に限り、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の審判をすることができます。
ア 共同相続人間で配偶者に配偶者居住権を取得させることについて合意が成立しているとき。
イ 配偶者が配偶者居住権の取得を希望し、かつ、建物所有者が受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があるとき。

③配偶者居住権の存続期間は、遺産分割、遺贈又は死因贈与において別段の定めがされた場合を除き、配偶者の終身の間となります。

④配偶者居住権は、譲渡することができず、存続期間を定めた場合であっても配偶者が死亡したときは消滅します。

⑤配偶者居住権は、登記をすれば第三者に対抗することができます。

2、遺産分割前における預貯金の払戻し制度の創設等

①家庭裁判所の判断を経ないで、預貯金の払戻しを認める方策

遺産分割前における預貯金の仮払い制度が創設されました。

これは何かというと、元々相続人の一部の者だけからの請求では法定相続分に相当する預貯金も引き出せなかったのですが、今回の改正によって遺産分割が成立する前であっても、一定額についての預貯金債権については、家庭裁判所の関与がなくとも引き出しが認められることになりました。

計算式は、以下のとおりです。

相続開始時の預貯金債権の額×3分の1×預貯金引出しを求める共同相続人の法定相続分を乗じた額=単独で払戻しを請求できる額

3、遺言制度の見直し

①自筆証書遺言の方式緩和

自筆証書遺言を作成する場合、従来は全文自筆でないといけませんでしたが、今回の法改正によって、自筆証書に相続財産の全部または一部の目録を添付するときは、その目録については自書することを要しなくなりました。

自筆証書に自書によらない目録を添付する場合には、遺言者は、目録の各頁に署名押印をしなければならないようになりました。

4、遺言執行者の権限の明確化

従来の相続法では明確とはいえなかった遺言執行者の権限・地位が改正によって、明確化されました。

まとめると、以下のとおり明確化されました。

①遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、遺言の執行に筆追うな一切の行為をする権利義務を有し、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示していた行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
②遺言執行者は、その任務を開始した時は、遅滞なく、遺言の内容を相続人に対して通知しなければならない。

③遺言執行者がある場合には、特定遺贈であるか包括遺贈であるかを問わず、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

④特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言)がされた場合には、遺言執行者は、原則として、対抗要件の具備に必要な行為をする権限や、預貯金債権についての払戻し、解約をする権限を有する。

⑤遺言執行者は、他の法定代理人の場合と同様の要件で復任権を有し、復任権を行使した場合には、他の法定代理人と同様の責任を負う。

5、遺留分制度の見直し

「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」に改め、相続人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分の権利を行使することで、遺留分侵害額に相当する「金銭」の支払いを請求することができることになりました。

6、相続の効力等の見直し

改正相続法では、相続によって法定相続分を超える権利を承継した者は、当該超える部分について、「登記等の対抗要件がなければ第三者にその権利取得を対抗できない」と規定されることになりました。

※対抗とは、「主張」とお考え下さい。

7、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(寄与分)

寄与分とは、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者(相続人に限る)がいた場合において、その者が法定相続分以上に相続できることになる制度です。

しかしながら、寄与分制度だけでは、親族間の公平を保てない場合が多々ありました。

改正相続法において、相続人以外の一定の者が、被相続人に対して無償で療養看護等をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に、相続の開始後、その者は相続人に対して金銭の支払いを請求できることになりました。

相続人以外の者も、貢献の内容によっては、自らの被相続人の財産の維持又は増加への寄与を法的に主張できるようになったのです。

◆当事務所は相続法改正に対応しています

当事務所では、相続法改正に対応しておりますので、相続や遺言のことでお困りのことがありましたら、お気軽にお問合せ下さい。

 

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