相続人に認知症の方がいる場合の遺産分割
認知症等により判断能力が不十分とされると、法律行為である遺産分割をすることが出来ないにもかかわらず、遺産分割協議は相続人全員が話し合いに参加し、遺産分割方法を決定しなければなりません。長寿大国である現代の日本では、相続人の中には認知症を発症している人も少なくなく、また知的障害・精神障害等によってご自身で物事を判断することが困難な方もいらっしゃいます。このような場合、成年後見人という代理人を定めて、その成年後見人に遺産分割を代理してもらうことで、遺産分割を成立させることができます。
成年後見制度とは
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などで意思能力が不十分な方を保護するための制度です。成年後見人は民法で定められた一定の者が家庭裁判所に申立てをすることで、家庭裁判所が相応しい人物を選任します。成年後見人は本人に代わって必要な契約等を締結したり、財産管理などを行います。家庭裁判所に申立を行ってから選任までには数か月間の時間を要しますので、余裕を持って行いましょう。
成年後見人には、親族が選任される場合もありますが、第三者である専門家が成年後見人となる場合や複数の成年後見人が選任される場合もあります。
なお、成年後見人が選任されると、遺産分割協議後も法定後見制度の利用が継続しますので、今回の相続のためだけではなく、その後の生活においても必要かどうかを考えて法定後見制度を活用しましょう。